- 旅役者 -
オット・バッツィーという男は、少なくとも公式記録に偽りがなければ、ジェダイだった。
彼がどれほどの間、ジェダイ寺院で修行を積んでいたかは定かではない。また、寺院を去り、第二の人生を始めるに至った経緯も、動機も、その結末でさえ、一切は秘密のベールに包まれている。唯一我々の知りうる事実は、彼がジェダイであるとともに、一流の劇作家であるということだけである。
彼には弟子がいた。ただし、ジェダイのそれではない。作劇の才に長けていたとされるバッツィーを慕って、ひとりの若い少女がジェダイ寺院の門戸を叩き、弟子入りを志願したのである。彼女の名はクレア=ベス・セレノスといった。これは後に、彼女がジェダイの修行を受ける際に本名を捨て、フォースに仕える者としての新たな人生を歩むためにジェダイ評議会から授けられた名である。本名は、これもまた、忘却された先人の記憶の一片に過ぎない。
これは、稀代の天性を与りながらも、その墳墓の地を歴史の暗闇に選んだ流浪の天才、オット・バッツィーの半生を綴った、彼の生涯唯一の弟子にして友人であったクレア=ベス・セレノスの回顧録のごく一部である。
彼はその晩、ひとつの革袋を肩に掛け、寺院を後にしました。振り向かず、視線は足元に下ろしたまま、私のところへまっすぐ歩いてきました。ひたすらと言ったほうが正確だったでしょうが、自分の育った地を捨て、背を向けたままの彼の信念に揺るぎのないその顔を見て、私は申し訳ないという思いを呑み込みました。彼が強引に自分の感情を抑えるとは、私には思えませんでした。
修行を始める頃から、思いは寺院の外にあった、と彼は言います。幼い私の肩を叩き、まるで励ますように、彼は自分の将来の展望について教えてくれました。その話には、ジェダイがよく引き合いに出す「使命」という言葉は使われませんでした。どちらかといえば、彼は少年のように目を輝かせているように見えました。
元老院地区の中層にあるカフェで食事を済ませた後も、彼は今後の行き先について、私には話してくれませんでした。まだ自分の旅に私を連れて行くことを渋っていたのかもしれません。私はそのことを確認しようと、このコルサントで孤独に生きていくことの困難さを再び訴えました。
彼は笑いながら、こう言いました。「私はここを出るのではない」と。私は「ここ」の意味を問いただそうと口を開きかけましたが、彼はそれを制し、ジェダイには禁じられているシガーラに火を点け、まるで無法者にでも生まれ変わったかのようにそれを吸い始めました。
彼がジェダイ騎士団を脱退する際、評議会は三つの約束事を一生の訓示として彼に誓わせたのだそうです。決してフォースを使わないこと、決してフォースに助言を求めないこと、そして、決してフォースに身を委ねないこと。これはジェダイの規律に背を向けたものの使命であり、全宇宙への貢献の一環であると、マスター・ヨーダは彼に説いたのです。私は胸を痛めました。騎士団を去った彼は今や、何もしないことが唯一の共和国への奉仕である、刑務所の囚人のような立場になってしまったのだと、私は思いました。
その日の晩、彼は紙に書いた脚本のひとつを私に手渡しました。これが私が生まれて初めて主役を演じることになる作品でした。そのときはまだ題名は決まっていません。『旅役者』という題名で、今もコルサントのオペラ座で親しまれている短編演劇のひとつであるこの脚本を読んだ私は、すぐにこれが彼自身を描いたものであると気がつきました。
本当の『旅役者』の登場人物は、主人公ジェロシーのひとりだけでした。フィギーやロイスバンティク侯爵は、ローディアンの演出家が独創で加えたもので、それがオリジナルよりも一般に広く知られてしまったのです。本物のジェロシーは恋愛などせず、ボトゥミアに流されもしません。この悲劇は、主役の一人芝居で続くものでした。当時は私以外の役者がいなかった、というのもひとつの原因であったと思います。ただこの作品は、彼のこれまでの経歴を象徴して余りある、細部まで洗練された秀逸なものに違いありませんでした。
それから一週間、私たちは評議会が手配してくれた民宿に寝泊まりしていました。彼はその間、目的地に到る方法を模索していたようです。私はというと、寝食以外はほとんど脚本の演技や台詞を覚えるのに時間を費やしました。学識の乏しい私は、この作業が想像以上の難事であることを悩み、忙しくてそれどころではない彼に相談を持ち掛けました。彼は快く時間を割いてくれましたが、その日は決まって帰りが遅くなりました。後になって分かったことですが、懐の芳しくない彼は、ただ乗りを引き受けてくれる旅客船を探していたのです。高名な劇作家として広く顔を知られた身である彼なら、すぐにでも見つけられそうに思われるでしょうが、現実はひどく厳しいものです。ひっそりとコルサントを出たい彼は、なるべく質素な不定期便を探していました。そして、そういった類の船は、ほぼ確実に、彼のことを知らない芸術に無関心の船長が運営しているのです。さらに不幸なことには、彼らは概して金銭を重視する種族でした。
この旅の経費はすべて、私の演技にかかっている。私はそう思わずにはいられませんでした。もちろん、彼に弟子入りする決意を固めたのは、彼の作品に衝撃と感銘を受け、役者の道を本格的に歩むためでした。ただこのときばかりは、私は彼を助けることを最大の目標としていました。これに気づいた彼は、私の見当違いに対して腹を立て、恐ろしく静かにたしなめました。民宿の滞在許可期間の最終日が刻一刻と迫る中、私は彼に街頭劇を提案してしまったのです。
食事の際にも、彼はほとんど口を聞いてくれませんでした。謝罪をする機会にも恵まれず、彼はそそくさと外出してしまいました。私はその日、ずっと泣き続けました。気力といえば、すべてを涙を流すことに使いました。幼かった私にとって、彼の仕打ちはそのときまでの私の希望に満ちた夢想を音を立てて崩れさせうるに十分でした。彼に嫌われてしまったことへの後悔と絶望感が、私の呼吸器官を縛りつけ、全身の筋肉を麻痺させました。頭が朦朧とし、自分の嗚咽が耳に届かなくなると、いつの間にか私は力尽きて寝てしまいました。
聴覚を刺激する、身も凍るような悪夢にうなされて目の覚めた私は、彼が被せてくれた毛布と、その上に優しく載せた大きな手にしばらく気がつきませんでした。フォースとの接触を禁じられた彼もまた、私が目覚めたことに気がついていない様子でした。私はそのとき、何も思うことなく、寝言のようにかすれた声で「ごめんなさい」と囁きました。なぜかは今でも分かりませんが、私は彼が初めから自分を嫌いになったわけではなかったことを、吐き気がおさまった瞬間に悟ったようでした。彼は一言、「船が見つかった」とだけ告げました。
その明朝、彼は港までの道程で、彼の演劇の熱心なファンであるビスの密輸業者のこと、そしてその男が運賃の代わりに私の演技を見せてほしいと言っていることを話してくれました。満足に練習もしていなかった私は不安に駆られ、失敗しても怒らないでほしいと訴えましたが、彼はそれを一笑に付しました。そのビスは、観客を前にして演技を披露するのが初めてという役者の卵に好奇心を持っている、と。
直接口にしなくても、私には彼が求めていることを理解したような気がしました。ジェダイ騎士団を去ったことも、演劇の道を貫くことも、私の弟子入りを承諾したことも、すべて彼自身の演劇に対する情熱が、船頭として彼を動かした結論なのだと。使命というものは、彼にとっては意識的解放を得るための手段に過ぎないと、私は今になって思うのです。これまで心の拠り所とさえなっていたフォースとの関係を解消した彼は、まさにそのときから、演劇との確固とした繋がりを見出したのだと。
ビスの密輸業者が温かい眼差しで、台詞を言い間違える私を見つめているとき、私は視界の隅でそれを満足げに眺めている彼の存在を強く感じました。私にとって、彼はかけがえのない師であり、欠くことのできない唯一の船頭でした。
END
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